葬儀で着物を着用する際、着物本体と同じくらい重要なのが小物類の選び方です。和装小物は、全体の印象を決定づけるだけでなく、マナーを正しく守っているかどうかを示す重要な指標となります。まず基本となるのは、すべての小物を「黒」で統一することです。ただし、単に黒ければ良いというわけではありません。最も重要なのは、光沢や飾りを避けるという点です。帯揚げや帯締めは、金糸や銀糸が入っていない純黒の縮緬や組紐を選びます。刺繍も、華やかなものは避け、ごく控えめなものか、無地のものを用いるのが一般的です。次に草履ですが、これはエナメル素材のような光輝くものは厳禁です。マットな質感の合皮や、布製の布草履を選ぶのがマナーです。最近では、喪服用として販売されている撥水加工済みのマットな草履も多く、急な雨にも対応できるため便利です。また、鼻緒の色も黒である必要があります。足袋については、必ず真っ白なものを用意します。汚れはもちろん、洗濯でくすんでしまったものも避け、できれば新品を下ろすのが望ましいでしょう。予備として1足バッグに入れておくと、万が一汚れた際にも安心です。次にバッグですが、これも光沢のない黒の布製が基本です。皮製品を用いる場合は、殺生を連想させるクロコダイルやパイソンのような型押しは絶対に避け、ごくシンプルな牛革のマット仕上げを選びます。金具が目立つものも避けるべきで、どうしても金具がある場合は、黒い布で隠すか、目立たない色のものを選びます。また、数珠も忘れずに用意しましょう。数珠は宗派によって形が異なりますが、自身の宗派のもの、あるいは略式の片手念珠であればどのような場でも使えます。房の色は落ち着いたものを選びます。さらに、意外と見落としがちなのがハンカチです。葬儀では涙を拭う機会が多いため、白か黒の無地のもの、あるいは控えめな刺繍が入ったものを用意します。原色や派手な柄物は避けてください。扇子についても注意が必要です。葬儀で用いる扇子は「祝儀扇」とは異なり、骨が黒く、紙も黒や落ち着いた色合いのものを使用します。これは主に儀礼的な持ち物であり、仰いで涼むためのものではないことを理解しておく必要があります。髪飾りについても、パールなどの光るものは避け、黒いリボンやシンプルなバレッタで髪をまとめます。1つひとつの小物は小さいものですが、それらが集まって「葬儀の装い」が完成します。マナー違反がないか、出発前に鏡の前で全身をくまなくチェックすることが大切です。控えめでありながらも、細部にまで気配りが行き届いた装いは、故人への深い敬意となり、周囲の人々にも安心感を与えます。正しい小物選びを通じて、葬儀という特別な場にふさわしい立ち居振る舞いを心がけましょう。
葬儀用の和装小物を選ぶ際に注意する点