葬儀のメモリアルコーナーを作る際、遺族が最も悩むのが「何を飾ればよいのか」という選択です。故人の人生は長く、多岐にわたるため、そのすべてを展示することは不可能です。そこで、参列者にも故人らしさが伝わりやすく、かつ遺族の負担にならない「思い出の品」の選び方について、いくつかのカテゴリーに分けて提案します。まず基本となるのは「趣味・情熱」のカテゴリーです。これは最も個性が表れやすく、会話のきっかけになります。楽器、絵画の道具、釣竿、登山靴、カメラ、あるいは長年続けていたスポーツのユニフォームなどが代表的です。これらの品物は、故人が人生の貴重な時間を何に費やし、何を愛していたかを直感的に伝えます。次に「仕事・社会的役割」のカテゴリーです。退職して久しい場合でも、現役時代に大切にしていた万年筆、使い込んだ手帳、あるいは授与された勲章や表彰状などは、故人の社会的な功績を称える大切な要素となります。第3に「日常・愛着」のカテゴリーです。意外と参列者の心を打つのが、こうした身近な品々です。いつも使っていた眼鏡、愛用の湯呑み、よく着ていたお気に入りのカーディガン、あるいは毎日欠かさず読んでいた本などが挙げられます。これらの品には故人の「気配」が色濃く残っており、生前の温もりを思い出させてくれます。第4に「家族との絆」のカテゴリーです。子供や孫から贈られた似顔絵や手紙、結婚記念日のプレゼント、家族旅行のチケットの半券など、故人が大切に保管していた家族との思い出の断片は、遺族の愛情を象徴するものとして非常に感動的です。第5に「未完の夢・未来への遺産」です。書きかけの原稿、作りかけのプラモデル、あるいは「いつか行きたい」と話していた場所のガイドブックなどは、故人が最後まで希望を持って生きていたことを伝え、参列者に深い余韻を残します。品物を選ぶ際のポイントは、必ずしも高価なものや綺麗なものである必要はないということです。むしろ、使い古されたもの、傷がついたもの、色褪せたものの方が、そこに刻まれた「生きた時間」を感じさせます。選定の作業で迷った時は、家族で「これをパパが見たらどう思うかな」「ママはこの靴を履いてよく散歩に行っていたよね」と相談しながら決めてください。選ばれた品物1つひとつが、故人からの「最期のメッセージ」として、斎場の空気を優しく包み込んでくれるはずです。メモリアルコーナーは、故人の人生の総決算であると同時に、遺族から故人への「お疲れ様」という感謝の気持ちを可視化する場所でもあります。心の動くままに、一番故人らしいと感じるものを選び抜いてください。
メモリアルコーナーに飾る「思い出の品」の選び方ガイド