髪をまとめる長さがないショートヘアやボブスタイルの方は、無理にまとめ髪にする必要はありませんが、それでも弔事特有のマナーを守った整髪が求められます。短い髪だからといって、起きたままの状態で参列するのは禁物です。基本的には、耳を出すスタイルが最も清潔感があり、葬儀の場にふさわしいとされています。サイドの髪を耳にかけて、顔まわりをスッキリとさせるだけで、表情が明るく見え、慎み深い印象を与えることができます。ボブスタイルの方は、下を向いたときに髪が前に垂れてこないよう、ワックスでタイトに抑えるか、黒い目立たないピンで固定します。このとき、ハーフアップにするという選択肢もありますが、結ぶ位置は低めにし、髪飾りは光沢のない黒のバレッタ1つに絞ります。ショートヘアの場合、トップにボリュームを出しすぎると華やかになりすぎてしまうため、ドライヤーで根元を抑えるようにセットし、全体的にコンパクトなシルエットを目指します。また、寝癖やハネは厳禁ですので、丁寧にブローして毛先を内側にまとめます。最近流行のウェットな質感を作るバームなどは、葬儀の場では「脂ぎっている」ように見えてしまう恐れがあるため、使用量には十分注意し、あくまで自然な艶の範囲に留めるのが賢明です。前髪についても、ショートの方は印象を左右しやすいため、眉にかかる程度の長さであれば横に流し、額を少し見せることで誠実さを演出できます。もし髪色が非常に明るい場合や、インナーカラーが入っている場合は、短い髪だと隠すのが難しいため、全体を暗く見せるスタイリング剤を活用するか、落ち着いた印象の耳かけスタイルでカバーします。短い髪は動きが出やすい分、お辞儀をした後に元に戻らないことが多々あります。式場に入る前に、手櫛ではなく目の細かいコームでサッと整えるだけで、印象は劇的に変わります。まとめ髪ができない長さであっても、こうした細やかな配慮を積み重ねることで、周囲の人々に安心感を与え、場を乱すことなく故人を悼むことができるのです。身だしなみは自分のためではなく、相手への敬意の表れであるという基本を忘れずに、鏡の前で丁寧に整えましょう。