まとめ髪の完成度と持続性を左右するのは、整髪料をいかに正しく使いこなすかにかかっています。葬儀の場では、整髪料の目的は「飾るため」ではなく、あくまで「形を維持し、清潔感を出すため」であるべきです。まずベースとなるワックスですが、これは油分が多すぎない、マットタイプかソフトタイプを選びます。手のひらに少量を広げ、体温で温めてから髪の内側から手を通すように馴染ませます。これにより、表面だけが固まるのを防ぎ、内側から髪をホールドすることができます。特に襟足や耳周りは毛が飛び出しやすいため、入念に塗り込みます。次にジェルやバームを使用する場合ですが、これらは艶が出やすいため、弔事では使用量を最小限に留めます。パサつきがひどい場合のみ、毛先に少量馴染ませて落ち着かせる程度にします。仕上げに欠かせないのがヘアスプレーです。葬儀では長時間、頭を下げたり動かしたりするため、キープ力のあるスプレーが必要です。しかし、至近距離から噴射すると、特定の部分だけが不自然に固まって白く粉を吹いたり、テカテカと光ったりしてしまいます。必ず30センチメートル以上離した位置から、円を描くように全体にふんわりと吹きかけます。もし浮き毛(アホ毛)が気になる場合は、スプレーを指先に少し付けてから、その部分を直接抑えるようにすると綺麗に収まります。最近ではマスカラタイプの「ポイントリペア」という整髪料も市販されており、これは前髪や後れ毛をピンポイントで固定できるため、葬儀のバッグに入れておくのに非常に便利です。香料については、無香料タイプを選ぶのが鉄則です。香りの好みは人それぞれであり、悲しみの中にいる遺族が強い香料によって気分を害することがないよう、最大限の配慮をします。また、整髪料の使いすぎは、葬儀後のシャンプーでもなかなか落ちず、髪を傷める原因にもなります。帰宅後は専用のクレンジングや丁寧な予洗いで、しっかりと整髪料を落とすことも忘れずに行いましょう。正しく整髪料を使うことは、単に見た目を整えるだけでなく、崩れを気にせずに式典に集中できる環境を自分自身で作ることでもあります。道具を賢く使い、凛とした姿で故人を見送る準備を整えましょう。